
外では普通に笑って過ごしながら、家に帰ると誰にも言えないつらい状況を一人で抱えている——そんな毎日が続いていませんか?
あなたは今、旦那さんの言動に振り回され、いつしか「私がいけないのかもしれない」と思い込んでいませんか?
この記事でわかること
- カサンドラ症候群になりやすい人が陥る「3つの罠」
- 「自己否定のループ」がカサンドラ状態を深める仕組み
- カサンドラから抜け出す3つのステップ
- 感情と向き合うことで現実のとらえ方が変わる実体験
息子を出産し、私がフルタイムでコンサルタントに復職した頃から、夫のアスペルガー傾向は顕在化していきました。そして、数年で私は、産業医(精神科医)からカサンドラ状態にあると言われるようになりました。
仕事も育児も限界のまま日々を過ごす中で、最終的には、夫が小4の息子を連れ去るという出来事を経験しました。
それでも今、息子と私は、私たちらしい道を歩いています。そして私は、あの経験を笑って話せるようになりました。
この記事では、私がどのようにカサンドラになり、どうやってそこから脱したのかを、お伝えしようと思います。
カサンドラ症候群になりやすい人の「3つの罠」
罠① 「正しさ」で押し返せない
アスペルガー傾向のある人は、自分の基準を絶対視しやすく、論理的に主張してきます。高学歴・論理思考タイプのパートナーを持つ女性ほど、「反論できない=私が間違っている」という思い込みに陥りやすい傾向があります。
私の夫もコンサルタントで、いつも論理的に話をする人でした。最初は頼りになると感じていたのに、子育ての場面ではそれが「お前のせいで息子の将来がダメになる」という言葉に変わっていきました。反論しようとすると、「お前は何もわかっていない」「お前は責任がとれるのか」と声を荒げるようになり、やがて私は黙り込むことしかできなくなっていったのです。
「反論できないのは、私が間違っているから」——そう思い込んでいませんか?
罠②「頑張れば変わる」という希望を持ち続ける
カサンドラ状態になりやすい人は、責任感が強く、真面目な方が多いです。「私さえ頑張れば、夫との関係性も改善するはず」と思い続けるため、限界を超えても修復しようとし続けます。夫が怒るたびに「自分に何か問題があるのかもしれない」と自分を責め、自己否定を積み重ねていく——これが、カサンドラ状態が深まっていく典型的なパターンとも言えます。
「もう少し頑張れば、関係が変わるかもしれない」——今もそう思い続けていませんか?
罠③「誰にも言えない」という孤立
外では、仕事も人間関係も良好なのに、家庭では否定され続ける。その矛盾を誰にも打ち明けられないまま、一人で抱え込んでしまう。
私自身、職場ではワーキングマザーのロールモデルとして評価され、後輩たちのワーク&ライフバランスの相談にのることもよくありました。でも家では夫に無視され続けるという二重の生活を送っていたのです。「幸せそうな夫婦に見えているのに」という周りのイメージが、かえって人に打ち明けることを難しくしていたのです。
誰かに相談しようとしても、「そんなまさか、〇〇さんに限って」と思われることが怖い。「なぜそんな旦那さんと一緒にいるの?」と問われることも怖い。だから、ただ一人で抱え続けてしまう——これが、カサンドラ状態が長引く大きな理由の一つです。
あなたも今、誰にも打ち明けられないまま、一人で抱えていませんか?
その日、すべてが変わった
私が一泊の出張から戻り、マンションの玄関を開けた瞬間、空気が違うと感じました。部屋に入ると、家電も家具も生活用品も消えていました。冷蔵庫も洗濯機もエアコンも、タオル一枚、箸一膳さえ残っていませんでした。
夫が家中の荷物と共に、10歳の息子を連れ去ったのです。
その夜は、内覧会のように空っぽの家で、息子のことが心配で、眠れませんでした。
翌日私は、何事もなかったかのように出社し、クライアントとのミーティングをこなしました。でもその裏で、息子が今どこにいるのかすら、わからない状況が続いていました。外では普通に機能しているように見える。でも心の内は、生きた心地もしなかったのです。
あなたにも、外では、またお子さんの前では笑顔を作りながら、心はバラバラになりそう…という時を経験されているかもしれません。
私は、この事件のことを、親友にも同僚にも言えませんでした。周囲からは、理想的な夫婦として見られていたのに、夫に子供を連れ去られたなんて——口が裂けても、言えなかったのです。
でも、その夜ただ一人だけに電話しました。兄です。
兄は夜中に車で飛んできてくれました。空っぽになった部屋を黙って見渡し、一言だけつぶやきました。
「あいつ、こんなにおかしなやつだったんだ」
実は一年ほど前、夫は兄を呼び出し、私のいないところで「優香はダメな母親、妻だから離婚したい」と訴えていました。私の両親はすでに他界していたため、夫にとって兄が私の”親代わり”ととらえていたのです。
当時の兄は夫の言い分をある程度信じ、「子供もまだ小さいし、妹には家庭のこともちゃんとやるように言うので、もう少し様子を見てやってほしい」と頭を下げたと、後から聞きました。
その兄でさえ、目の前の現実を見て——百聞は一見にしかず——やっと夫の奇妙さを理解してくれたのです。
自己否定がカサンドラを深くする
息子がいなくなってからも、私の中で真っ先に湧いてきた感情は、夫への怒りではありませんでした。「私が妻として母として、いたらなかったのかもしれない。だから私はこんな目にあったんだ…」と自分を責め続けました。
これがカサンドラ状態の最もつらいところだと、今は思います。相手から傷つけられているのに、その傷に自分でさらに塩を塗ってしまう。カサンドラ状態は、相手の言動だけで作られるものではありません。それに対して自分がどう反応するか——その「自己否定のループ」が、状況を深刻にしていくのです。
カサンドラから抜け出す3つのステップ
ステップ1:感情に名前をつける
まず、自分の中にある感情を一つひとつ取り出して、名前をつけることから始めます。私の場合、最初に出てきたのは夫の言動に対する「怖れ」、次に家庭内で虐げられてきたことへの「悲しみ」、そして家庭内で無視され、孤立してきた「寂しさ」でした。
感情を「感じないようにする」のではなく、「これは怖れ」「これは悲しみ」というふうに認識するだけで、少しずつ心の重さが変わってくるのです。
ステップ2:「相手の解釈」と「自分の事実」を切り分ける
カサンドラ状態では、相手から言われた言葉が「事実」として自分の中に定着しがちです。「ダメな母親だ」という夫の言葉が、「私はダメな母親だ」という自己認識にすり替わってしまうのです。
でも息子を取り戻すための調停で、調停員・児童心理学者・学校の先生方が丁寧に調査してくれました。
出産後の記録、保育園の連絡帳まで確認され、私がほぼワンオペで保育園・幼稚園・学校のことをすべて担ってきたことが、客観的な事実として証明されました。
夫は「ダメな母親だ」と言い続けましたが、児童心理学者がインタビューをした学校の先生も周囲の方々も「山友さんは、母親としてきちんとやってきた」と明確に証言してくれたのです。最終的には、夫側の弁護士でさえ、夫の極端で独りよがりな論理展開に手を焼くようになっていました。
ここで必要なのは、何かを評価されたとしても、「それは夫の解釈」と切り分けることです。どれだけ否定されても、あなたが積み重ねてきた事実は消えません。夫に「ダメな母親だ」と言われ続けたとしても、あなたがお子さんのためにやってきた、今も続けている一つ一つのことは、ちゃんとそこにあるのです。
ステップ3:「今の自分にできること」に意識を向ける
相手を変えることはできなくても、あなたが今日できることは必ずあります。調停期間中の私は「息子が帰ってきた時に安心できる場所を作ること」だけを考えていました。「今の自分にできること」にフォーカスすることで、少しずつ前に進めるようになっていきました。
感情と向き合い続けた先に見えてきたもの
調停中、月に1度、それも日帰りでしか息子に会えない時期が続きました。毎週でも会いたいところを、息子を連れ去った夫が頑なに拒んだからです。息子の希望で、夏休みに大型客船で一週間の海外旅行をする予定だったのに、それさえ行かせてもらえませんでした。
一度だけ、息子が我が家に一泊する許可をもらえた日がありました。夜、布団に入ると、息子がぽつりと言ったのです。
「早く一緒に暮らしたい」
その後の調停期間も、その言葉が、私を支えてくれました。感情カウンセラーとしての学びを生かして、自分の感情と向き合い、自己否定のループを少しずつほどいていく中で、半年後、息子は無事に私のもとに戻ってきました。
その後、夫のもとでは抑圧されていた息子が本音を言えるようにと、私は、息子の言葉を丁寧に待つようにしました。何が食べたいか、どこへ行きたいか——答えが出るまで急かさずに待つ。息子にも感情カウンセリングやヒーリングをし、心の傷を癒すサポートをしていきました。
中学に入ったある日、マウンテンバイクがほしいという息子と共に、大きな自転車屋さんに行きました。数百台ある中から、息子はあっという間に、2〜3台を選んでこう言ったのです。「このチェーンのところのフォルムが格好いい」「このボディのマットな色がいい」——自分だけの言葉で、自分の感覚を語り、物事を選択できるようになっていたのです。
あ、この子はちゃんと自分の心の声を取り戻した——そう感じた瞬間でした。
あの頃の経験があったからこそ、今の私は同じような状況にある方々のサポートができているのです。
「私のせい」と思い続けてきたあなたへ
もしあなたが今、「夫が私を批判するのは、私が母として、妻としていたらないせいかもしれない」と繰り返し思っているなら——あなたのせいではないかもしれません。長い時間をかけて積み重なった「自己否定のループ」が、あなたの認識を書き換えてしまっているだけで、それは旦那さんの脳の特性からの言葉に過ぎないかもしれないのです。
まず、今のあなたの中にある感情に名前をつけてみてください。それだけで、少し呼吸が楽になることがあります。
「自己否定のループ」は、気づいた瞬間から少しずつほぐれていきます。今日の感情に名前をつけることが、その最初の一歩——そんな小さな変化が、あなたの中で始まることを願っています。
この記事を読んで、少しだけ楽になったと感じたら
今日の感情に名前をつけることが、その最初の一歩——そんな小さな変化が、あなたの中から始まることを願っています。
自己否定のループは、気づいた瞬間から少しずつほぐれていきます。感情に名前をつけること——それが、あなたの今日の一歩になりますように。
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