
外では仕事も家のこともきちんとこなしているのに、家に帰ると、自分の居場所だけが見つからないように感じる。夫と同じ家にいるのに、ひとりでいるときよりさびしい——。
アスペルガー傾向のある旦那さんと暮らしていて、そんな「一緒にいるのに孤独」を抱えているお母さんは、少なくないと思います。
私は感情カウンセラー&ヒーラー&リーダーとして活動しながら、外資系企業で人事コンサルタントもしています。そして私自身、アスペルガー傾向のある夫との結婚生活の中で、長いあいだ「この家に私の居場所はあるのかな」という感覚の中にいました。
この記事では、次の3つをお伝えします。
- 「一緒にいるのに孤独」と感じる理由を、「席の形のずれ」という見方で整理します
- 自分の「ずれ」に気づくためのセルフチェック
- 自分の席を見つけていくための3つの問い
「一緒にいるのに孤独」―アスペルガー夫との家で居場所がないと感じるとき
夫と「一緒にいるのに孤独」という感覚は、言葉にしにくいものです。たとえば、こんな形で現れます。
- 話しかけても、気持ちが返ってきた感じがしない
- 家族のためにがんばっても、それが届いている手応えがない
- 子供のことは大事にしているのに、私には関心が向いていないように見える
- 外の人には「いい旦那さんね」と言われ、私の寂しさや虚しさは、わかってもらえない
ひとつひとつは小さなことでも、毎日重なると、「この家に私の席はあるのだろうか」という感覚になっていきます。
こうした状態は、「カサンドラ症候群」という言葉で語られることがあります。気持ちが通じ合いにくいパートナーとの関係が続く中で、心や体に不調が出てくる状態を指して使われる言葉です。
家族と一緒にいるのに孤独を感じるのは、珍しいことではありません。まずは、この感覚に名前をつけてあげるところから始めてみませんか。
孤独の正体は「席の形のずれ」―夫との家で私が探していた席
では、なぜ一緒にいるのに孤独を感じるのでしょうか。私は、その正体のひとつが「席の形のずれ」にあると考えています。
人は家族の中に、自分の「席」を求めます。妻として大切にされる席。順番はいちばんでなくてもいいから、ちゃんと名前のついた席。私はこれを「愛情の順位の席」と呼んでいます。
けれど、相手の中にある席の形は、こちらが思い描く形と同じとは限りません。私の目には、夫の中に、人に順位をつけるという形は見えませんでした。私が探していた席は、数が足りなかったのではなく、その形のものが、そこに見当たらなかったのです。
この「ずれ」は、次の3つに分けて見ると整理しやすくなります。
- 期待している席: 私の中にある「こう大切にされたい」という形
- 相手の中にある席: 相手が人と関わるときの、相手なりの形
- 2つのずれ: 期待している形と、相手の形が重ならない部分
形の違う席を探し続けていると、どれだけがんばっても、座るのは難しくなります。そして「座れないのは、私のがんばりが足りないからだ」と、自分を責める方向へ向かいやすくなります。これが、一緒にいるのに孤独を感じるしくみのひとつだと、私は考えています。
なお、これは「アスペルガー傾向のある人はみんなそうだ」という意味ではありません。人との関わり方の形は、一人ひとり違います。大切なのは、相手を決めつけることではなく、「私が求めている形と、相手の形がずれているのかもしれない」と気づくことです。
私自身が夫との家でどんな席を探していたのかは、こちらの記事をどうぞ。
▶「アスペルガー夫との家に私の居場所は?」—探し続けたもの (noteで読む)
自分の席を見つける3つの問い
まずはセルフチェック: あなたの「ずれ」はどこにある?
次のうち、当てはまるものはいくつありますか。
- 相手に「わかってほしい」ことを、言葉にして伝えたことがほとんどない
- 相手が自分なりのやり方で家族に関わっていても、「それは違う」と感じることがある
- 「普通の夫婦なら、こうするはず」という形が、頭の中にはっきりある
- 相手の反応ひとつで、その日の自分の気分が大きく変わる
- 相手に認められたときに、ようやく自分に価値があると感じられる
前の3つは「期待している席の形」に、あとの2つは「自分の価値を相手の反応に委ねていること」に、気づくきっかけになることがあります。いくつ当てはまっても、悪いということではありません。ずれがどこにありそうかの目安として使ってみてください。
そのうえで、次の3つの問いを自分に向けてみてください。
問い1: 私が求めている形は、相手が人を大切にするときの形と重なっているだろうか?
セルフチェックで見えた「こう大切にされたい」を、できるだけ具体的に書き出してみます。「話を最後まで聞いてほしい」「疲れているときに気づいてほしい」「家族の中で順番をつけて大切にしてほしい」など。
次に、相手がこれまで誰かを大切にするとき、どんな形をとってきたかを思い出してみます。2つを並べて重ならないなら、求めている形のままで受け取ろうとするのは難しいのかもしれません。それがわかるだけでも、「受け取れないのは私のせい」という思い込みから、少し距離をとれることがあります。
問い2: その形で大切にされたら、私の中の何が満たされるのだろう?
求めている形そのものより、その奥にある気持ちに目を向けます。安心したいのか、認められたいのか、一番に見てほしいのか。
私の場合は、結婚するずっと前から抱えていた「一番に見てほしい」という思いが、その奥にありました。席を求める気持ちの根っこは、今の関係より古いところにあることもあります。
問い3: その気持ちを、自分で満たす道はあるだろうか?
問い2で見えた気持ちを、相手からもらう以外の方法で満たせないかを考えます。
たとえば「認められたい」なら、今日自分がやったことを、自分で「よくやったね」と認めてみる。小さなことからで大丈夫です。誰かに席を用意してもらうのを待つのではなく、自分で自分の席をつくっていく、という向きに変えていきます。
「席を探す」から「自分で座る」へ―私に起きた変化
私の場合、席を探さなくなったのは、自分で自分を認められるようになったことが大きかったと感じています。人の評価が気にならなくなり、席を誰かに用意してもらうことを、待たなくなっていきました。
変わり方やかかる時間は人それぞれで、これはあくまで私の体験です。そこに至るまでのプロセスは、上記でご紹介した note に書いています。
よくある質問
Q. アスペルガー傾向のある夫には、妻への愛情がないということですか?
そうとは言い切れません。人との関わり方や、大切に思う気持ちの表し方の形が、こちらの期待と違うことがある、というのが私の見方です。「愛情がない」と決めつけるより、「形が異なるのかもしれない」と見るほうが、自分を責めずにいられることがあります。
Q. 家に居場所がないと感じるなら、離婚したほうがいいのでしょうか?
離婚が正解とも、続けることが正解とも、私は思っていません。どちらを選ぶにしても、まず自分の気持ちを自分でわかってあげることが、自分で選ぶための土台になります。セルフチェックと3つの問いは、どちらの道を選ぶ方にも使えます。
Q. 自分で自分を認めるには、何から始めればいいですか?
今日できたことを1つ、自分に言葉で伝えることから始めてみてください。ひとりで向き合うのがつらいときや、心や体の不調が続くときは、カウンセラーや医療機関など、第三者の力を借りるのもひとつの方法です。
まとめ
- 「一緒にいるのに孤独」の正体のひとつは、期待している席と、相手の中にある席の「形のずれ」です。
- セルフチェックで自分のずれの場所を知り、3つの問い(求めている形は重なっているか/何が満たされるのか/自分で満たす道はあるか)が、自分の席を探していく手がかりになります。
- 私の場合、席を探すのをやめて自分で座れたとき、人の評価が気にならなくなりました。
※本記事は、民間資格を持つカウンセラーとしての見方と私個人の体験にもとづくもので、医療行為や診断ではありません。
この記事に『私のことかも』と感じた部分があったなら。
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