
「もう、夫に期待するのはやめたい」。そう思って「夫に期待しない方法」を調べているお母さんは、少なくないかもしれません。アスペルガー傾向のある旦那さんと暮らしていると、何度伝えても届かない、変わってほしいけど、変わらない——そんな毎日に、心も体もすり減っていきます。
私自身も、アスペルガー夫と暮らしていた頃、10年近く夫への期待を手放せずにいました。今は感情カウンセラー&ヒーラー&リーダーとして、同じように悩むお母さんたちのお話を聴いています。
この記事では、私の体験から整理した「夫への3つの期待」と、それを手放していくための3つのステップをお伝えします。「期待しない」と「諦める」の違いも、あわせて整理していきます。
「夫に期待しない」は、諦めることとは違う
結論からお伝えすると、夫への期待を手放すことは、夫や夫婦関係を投げ出すことではありません。ここを混同したままだと、「期待しない」ことが、とてもつらいことに感じられてしまいます。
私は、2つをこう分けて考えています。
諦めとは、夫を変えることをやめるだけでなく、自分の望みや気持ちまで一緒に捨ててしまうことです。「どうせ私が何を望んでも無駄」と、自分の側の扉まで閉じてしまう状態です。
受け入れとは、夫の変えられない部分を「この人は、こういう人」として置いておき、自分の望みや気持ちは、自分の手に残しておくことです。手放すのは夫への期待だけで、自分の人生は手放しません。
私も最初は、期待を手放すことを諦めだと思っていました。「期待をやめたら、この結婚に何も残らなくなる」「私のこの10年間はなんだったの?」と。
でも実際には、まったく逆でした。期待を手放したあとに、初めて「自分の人生」が私の手の内に戻ってきたのです。
アスペルガー夫への「3つの期待」
夫と暮らしていた頃、私は夫に対して、次の3つの期待を持ち続けていました。振り返ると、期待というより「幻想」に近いものだったと思います。
1つ目は、「いつか理解してくれるはず」という期待。
もう少し丁寧に説明すれば、私の気持ちが伝わる日が来る。そう信じて、10年近く、言い方を変え、タイミングを変え、伝え方を工夫し続けました。
2つ目は、「夫が変わるはず」という期待。
息子が2〜3歳の頃には、一度だけ夫婦カウンセリングに行ってくれたこともありました。私が夫婦関係の本をいろいろ読み漁って、なんとか改善したいと思っている様子が伝わるようにもしていました。「本人が自分の特性に気づけば、変わってくれる」と信じていたのです。
3つ目は、「私がちゃんとやれば、うまくいくはず」という期待。
これが、いちばん根深かったと思います。夫の言動の原因を、自分の「やり方」に探し続けていました。「私がもっと上手にやれば、この状況は変えられる」と。
この3つに共通しているのは、主語が夫になっていることです。
- 夫が理解してくれれば、私は報われる
- 夫が変われば、私の生活が変わる
- 私のやり方が正しければ、夫が変わる
3つ目は一見「私」が主語に見えますが、ゴールは「夫が変わること」に置かれています。どれも、私が報われるかどうか、毎日が楽になるかどうかを、夫に委ねていたのです。
期待が消耗を生む仕組み―人生の「助手席」に座ってしまう
主語が夫になると、意識はいつも夫に向きます。夫が怒鳴るたびに「なぜ」と考え、怒鳴らなかった日には「今日は無事だった」と安堵する。私の気持ちの波は、夫の状態にそのまま連動していました。
それはまるで、自分の人生なのに、夫が運転する車の「助手席」に乗っているような感覚です。行き先もスピードも、ハンドルを握る夫しだい。助手席の私にできるのは、夫の顔色をうかがいながら、揺れに耐えることだけでした。
この感覚は、夫の機嫌のことだけではありませんでした。あの頃の私は、何をするにも、まず夫にお伺いを立てていました。仕事で帰りが遅くなる日に、息子のお迎えに行ってもらえるかを夫にお伺いする。お迎えは私がするのが当たり前で、夫と半分ずつにしようという考えさえ浮かびませんでした。夫のほうが職位が上だったから、私が調整するべきだと思い込んでいたのです。
期待を持ち続けることの本当の消耗は、ここにあると私は考えています。夫に変わってほしいことを待つうちに、本当は自分で決めてよいことまで、夫に預けてしまうのです。
そして、もう1つ。私の夫の場合、こちらの気持ちを察して動いてもらうことが、なかなか叶いませんでした。かといって、夫に批判されるのが怖くて、私は夫に要求を出すことさえできませんでした。ただ黙って、言われるがままになっていたのです。期待を口にすることもできないまま、夫の出方を待つしかない。それが、あの頃の私の実態でした。
夫への期待を手放す3つのステップ
では、どうすれば期待を手放していけるのか。私の体験から、3つのステップに整理しました。一度にすべてできなくても大丈夫です。
ステップ1 今の期待が、3つのどれなのかを見分ける
まず、今あなたが旦那さんに向けている期待を、紙に書き出してみてください。そして、それが「理解してくれるはず」「変わるはず」「私がちゃんとやればうまくいくはず」のどれに当たるのかを見分けます。
手がかりは、「はず」という言葉です。「言えばわかってくれるはず」「私が先回りすれば、怒らないはず」。「はず」がつく思いは、たいてい旦那さんへの期待です。どれに当たるかが見えるだけで、自分がどこで消耗しているのかがわかってくることがあります。
ステップ2 夫の領域と、私の領域に分ける
次に、書き出した期待を「旦那さんの領域」と「私の領域」に分けます。
分け方はシンプルです。期待を1つずつ見ながら、「それは、旦那さんが決めることか。私が決めることか」と自分に聞いてみてください。旦那さんの気持ちやふるまいは、旦那さんが決めること。私がどう感じ、どう過ごし、何を大切にするかは、私が決めること。私は、そう考えています。
3つの期待は、どれも旦那さんの領域に手を伸ばしています。とくに「私がちゃんとやれば」は、自分の努力で旦那さんの領域まで動かそうとする期待です。「これは旦那さんの領域のこと」と分けて置くだけで、背負わなくていい荷物が見えてくることがあります。
怖さや悩みを「相手」「私」「関係性」の3つの領域に分けて考える方法は、こちらの記事でくわしく整理しています。
ステップ3 「私はどうしたい?」を、小さく1つ決める
夫の領域を手放すと、空いたところに「じゃあ、私はどうしたいのか」という問いが生まれます。私の場合も、期待を手放したあとに、初めてこの問いが浮かびました。
答えは、一晩で出なくてかまいません。大切なのは、小さなことから1つ、自分で決めてみることです。今日の夕食、週末の過ごし方、誰かに頼むかどうか。旦那さんにお伺いを立てる前に、「私はどうしたい?」と自分に聞いてみる。
私にとって大きかったのは、今の家を自分で選んだことでした。離婚の話し合いの中で、初めは、夫と三人で暮らしていたマンションを買い取って住み続けるつもりでしたが、それは自分の本音とずれていると感じました。最終的に住む場所を決めたのは、息子と私です。家を買ったことは、自分の人生のハンドルを自分で握る、大きな一歩になりました。
何度も旦那さんにどう伝えるかを工夫し続けてきたあなたの時間は、無駄ではありません。その力を向ける先を、少しずつあなたの側に戻していけばいいのだと思います。
よくある質問
Q. 夫に期待しないと、夫婦の関係は冷めてしまいますか?
私の場合は、期待を手放すと、夫の言動に振り回される時間が減り、自分の気持ちに目を向けやすくなりました。もちろん個人差はあります。そのうえで夫婦の関係をどうしていくかは、ご家庭ごとに違っていいと考えています。関係を続けることにも、離れることにも、絶対的な正解はありません。どちらを選ぶかを決めるのは、あなた自身です。
Q. 伝えたいことも、言わないほうがいいのでしょうか?
いいえ、そうではありません。期待を手放すことと、伝えることは別のものです。「わかってくれるはず」を前提にせず、感情的でなく冷静であれば、伝えたいことを伝えてかまわないと思います。伝えたあと、それをどう受け取るかは旦那さんの領域です。届かなかったとしても、それであなたの価値が下がるわけではありません。
まとめ
- 夫への期待を手放すことは、諦めではなく受け入れ。手放すのは期待だけで、自分の人生は手放さない
- 私が夫に持っていた期待は「理解してくれるはず」「変わるはず」「私がちゃんとやればうまくいくはず」の3つ。どれも主語が夫になっていた
- 期待を見分け、旦那さんの領域と私の領域に分け、「私はどうしたい?」を小さく1つ決める。そこから、人生のハンドルが少しずつ自分の手に戻ってくる日が来ると信じています
※この記事は、民間資格を持つカウンセラーとしての個人の体験と見解をもとにしています。医療に代わるものではありません。心身の不調が続くときは、専門の医療機関にご相談ください。
この記事に「私のことかも」と感じた部分があったなら。
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